このページの要点
- 総付景品は、くじや順位によらず、条件を満たした人全員に付ける景品。上限は景品表示法4条に基づく告示で定まり、数値は原文で確認する。
- 上限は取引価額が基準。最低購入額がある企画は、その額を取引価額と見る考え方が示されている。景品の価額も市価の根拠を残す。
- 先着順・来店特典・会員特典は呼び名の違いで、偶然や優劣で決まらない限り総付の整理。値引き・増量・クーポンとの区別は実態で見る。
- 告知文と規約に、対象者、条件、期間、数量、終了の知らせ方、返品時の返還を同じ内容で書き、取引価額と上限の計算を企画書に残す。
結論:総付景品は「くじも順位もなく、条件を満たした人全員に付ける景品」。上限は告示で定まり、数値は原文で確認する
総付景品(そうづけけいひん)とは、一般に、懸賞の方法によらず、商品を買った人や来店した人、申込みをした人の全員に提供される景品類を指す言い方です。「購入者全員にオリジナルグッズを付ける」「来店した人には先着で粗品を渡す」「会員登録をした人全員にプレゼントを出す」といった企画が典型です。くじ引きや抽選のように偶然で決まるものでも、コンテストのように優劣で決まるものでもなく、条件を満たせば誰でも受け取れる点に特徴があります。
この種の景品には、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)4条に基づく制限がかかります。同条は、内閣総理大臣が、不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を確保するため必要があると認めるときに、景品類の価額の最高額や総額、種類、提供の方法などを制限し、または景品類の提供を禁止できると定めています。つまり、法律の条文そのものには「何円まで」という数字は書かれておらず、具体的な上限は、この規定に基づいて定められた告示に置かれています。総付景品の最高額は、告示(一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限)1項で、取引価額が1,000円未満のときは200円、1,000円以上のときは取引価額の10分の2とされています(正常な商慣習に照らして適当と認められる限度内)。本ページでは、この数値を前提に、どう数えるか、どこで迷いやすいかを中心に整理します。数値は改正されることがあるため、企画の前に、消費者庁が公表している告示と運用基準の原文で、最新の数値と適用除外を確認してください。
- 総付景品は、懸賞に当たらない景品類の提供のうち、条件を満たした人に広く付けるものを指す整理が基本。「購入者全員」「来店者全員」「会員登録者全員」「先着で全員に近い数」が典型。
- 上限は景品表示法4条に基づく告示で定められる。取引価額に応じた額が基準になるため、まず「取引価額」を決めることが出発点になる。
- 「最低購入額が決まっている企画」「セット購入の企画」「継続購入の企画」では、取引価額の数え方で答えが変わる。企画書に数え方の根拠を書いておく。
- 値引き、増量、同じ商品の追加提供、アフターサービスは、景品類と扱いが分かれる場面がある。どれに当たるかは、運用基準の考え方と実態で確認する。
- 告知文と規約には、対象者、条件、提供期間、数量、なくなり次第終了か、の五点を同じ内容で書く。
本ページの前提として、そもそも景品類に当たるかどうかの判定は景品類に当たるかの判定のページで、懸賞の方法で提供する場合の考え方は懸賞の景品の上限と総額のページで整理しています。ここでは、「懸賞ではなく、総付として整理される企画」に絞って掘り下げます。全体の地図は販促キャンペーンの全体像に置いています。
総付景品に入る前の入口:景品類であること、懸賞でないこと
総付景品の上限を調べる前に、二つの入口を通る必要があります。一つは、その特典が景品類に当たるかどうか。もう一つは、懸賞に当たらないかどうかです。景品類の定義は景品表示法2条3項に置かれ、「顧客を誘引するための手段」「取引に付随」「経済上の利益」の三つの言葉で組み立てられています。この三つが組み合わさったものが対象です。
このうち「取引に付随」するかどうかが、実務で最も迷います。商品を買った人に付ける景品は取引に付随する提供の典型ですが、購入を条件にしない企画でも、購入者だけが有利になる仕組みなら、付随性が認められる場面があります。この点は購入を条件としない応募企画の線引きのページで扱っています。ここでは、取引に付随する提供であることを前提に、次の順で入口を確認します。
総付景品として整理できるかの入口の問い
その特典は、事業者の商品・サービスの取引に付随して、物品・金銭その他の経済上の利益を提供するものか
はい景品類に当たる可能性がある。次の問いへ。
いいえ景品類の定義に当たらない可能性がある。判定のページで、顧客誘引の手段性や取引との関係を確かめる。
くじ、抽選、クイズの正解者の中からの選定、順位や優劣による選定のように、偶然や競争で受け取る人が決まるか
はい懸賞に当たる整理。懸賞の景品の上限と総額の考え方で確認する(総付の上限ではない)。
いいえ偶然や優劣で決まらず、条件を満たした人に広く提供するなら、総付景品の整理に進む。
提供の条件は、購入・来店・申込みなど、事業者の取引に結びついているか
はい取引価額の捉え方を決めて、告示の上限と照らす。
いいえ購入や来店と結びつかない特典は、取引付随性の問題として別に検討する。
先着順・数量限定・期間限定で、受け取れる人が絞られているか
はい先着順や限定の企画も、偶然や優劣で決まらない限り、総付として整理される考え方が示されている。運用基準の原文で確認する。
いいえ全員に提供する企画として、そのまま上限を確認する。
上の問いは、判定の道筋を整理したものです。最終的な当てはめは、景品表示法の条文、告示、消費者庁の運用基準・Q&Aの原文で確認してください。
入口で特に誤解が多いのは、「抽選ではなく全員にあげるのだから、何を付けても問題ない」という理解です。懸賞に当たらないことは、制限を受けないことを意味しません。総付にも、告示による上限がかかります。逆に、懸賞に比べると総付の上限は、取引価額に応じた比較的小さな額で設計されているのが通常で、「全員に高額の特典を付けたい」という企画は、まず景品類の上限にぶつかりやすい類型です。
「取引価額」をどう捉えるか:企画ごとの数え方
総付景品の上限は、景品を受け取る人の「取引価額」を基準にして決まる、という構造で定められています。したがって、上限を考えるときの出発点は、景品の金額ではなく、取引価額を何円と置くかです。ここで迷う場面は、おおむね次のとおりです。
企画の形ごとの取引価額の見方(考え方の整理)
| 企画の形 | 取引価額の捉え方の考え方 | 企画書に残しておくこと |
|---|---|---|
| 単品を1回購入した人に付ける | 購入した商品の価格が基準になる。消費者向けの価格は消費税を含む総額で表示する(消費税法63条。免税事業者を除く)。 | 商品の価格(総額表示の価格)、景品の仕入れ価格または市価の根拠。 |
| 「○円以上の購入で」と最低購入額を決める | 最低購入額が定められているときは、その最低購入額を取引価額と見る考え方が示されている。実際に購入する人の購入額が高くても、基準は最低額になる。 | 最低購入額の設定、それが取引価額になる旨の整理、上限の計算。 |
| 複数の商品をまとめて購入した人に付ける | 同一の取引としてまとめて購入する場合の考え方と、個別の取引が重なる場合の考え方が分かれる。購入の単位を企画で定義する。 | どの購入をひとまとまりとして扱うか。レシートを合算するのか、1回の会計のみか。 |
| 継続購入(定期購入・サブスクリプション)の初回に付ける | 初回の支払額と、継続して支払う総額のどちらを見るかで答えが変わる。継続を前提にした取引価額の捉え方は、運用基準で確認する。 | 契約期間、初回の支払額、解約条件、景品を受け取る時期。 |
| 来店しただけの人に付ける | 購入を条件にしない来店特典は、取引付随性と、来店者が購入に結びつく度合いで整理が分かれる。購入の有無で金額を変える設計は避ける。 | 来店条件の定義、購入の有無で扱いを変えているか。 |
| 会員登録・アプリのダウンロードをした人に付ける | 登録に対価の支払いがなければ、取引と結びつく度合いの検討になる。有料会員の入会特典なら、会費が取引価額の目安になる。 | 登録が無料か有料か、登録後の購入との関係。 |
表の中で最も実務に影響するのは、「最低購入額」を決める企画です。たとえば「一定額以上の購入で特典」と告知する場合、受け取る人の実際の購入額が最低額を超えていても、取引価額は最低額で捉える考え方が示されています。購入額が大きい人ほど景品の割合が小さくなるはずだ、という感覚で上限を超える設計にしてしまうと、基準となる最低額に対して景品が大きすぎる、という結果になりかねません。企画書には、最低購入額、それに対する上限額の計算、景品の価額の算出根拠の三点を、数式の形で残しておくと確認が容易になります。
景品の「価額」についても、同様に考え方があります。景品の価額の算定は、消費者庁が公表している「景品類の価額の算定基準」によります。同じものが市販されているときは市価で捉える考え方が示されています(市価が分からない場合の扱いも定められています)。仕入れ値が安いからといって、直ちに安く見積もれるわけではない点に注意が要ります。具体的な算定方法は、原文で確認してください。自社で製造した景品、特注のノベルティ、複数の景品をセットにした場合の合算の仕方なども、運用基準で確認すべき点です。数式と根拠は、数年後に指摘を受けたときに説明できるように、企画の記録として保管しておきます。
先着順・来店順・会員特典・ベタ付け:呼び方ごとの注意
現場では、総付景品の企画に様々な呼び名が付いています。「ベタ付け」(購入者全員に付ける)、「先着○名様」、「来店特典」、「会員限定プレゼント」、「入会特典」などです。呼び名が違っても、法律の見方は、偶然や優劣で決まるか、決まらないかという点で整理されます。
よく使われる四つの企画と、見る点
ベタ付け(購入者全員)
条件を満たした全員に付ける最も典型的な総付
- 取引価額は購入額(または最低購入額)で捉える。
- 「数量限定」と書く場合は、なくなり次第終了であることと、在庫が尽きたときの案内を決めておく。
- 景品と商品が同梱される場合は、景品が商品の一部と見られないか、価格表示と整合しているかを確認する。
先着順
受け取れる人が申込みの順で決まる企画
- 偶然や優劣ではなく、申込みの順番で決まるため、総付として整理される考え方が示されている。
- 「先着○名」の数え方(誰が、どの時点で数えるか)を決め、記録を残す。
- 先着の数に達したあとの表示を更新し、終了した企画の告知が残らないようにする。
来店特典
店舗に来た人に渡す企画
- 購入を条件にしない場合は、取引付随性の整理が別に必要になる。
- 購入者にだけ渡すなら総付、来店者全員なら付随性の検討、と分けて考える。
- 来店を証明する方法(スタンプ、アプリのチェックイン)の不正を防ぐ。
会員特典・入会特典
会員になった人、会員のままでいる人に出す企画
- 有料会員なら会費が取引価額の目安になる。無料会員は取引との結びつきを検討する。
- 継続特典(毎月、更新時)の場合は、継続による累計か1回ごとかで考え方が変わる。
- 退会時の返還を求めるなら、特典の性質と規約の記載を整合させる。
表の「考え方」は、公表されている告示・運用基準の枠組みを踏まえた整理です。個別の企画への当てはめは、原文と企画の実態で確認してください。
先着順については、もう一つ注意点があります。先着順は偶然で決まらないため総付として整理される一方で、「先着○名に高額の特典」という設計にすると、実質的に抽選のように機能することがあります。たとえば、アクセスが集中するオンラインの先着では、サーバーの応答の差や通信環境で当落が分かれ、不満が出やすくなります。それでも、来店または申込みの先着順で定めることは懸賞に当たらないとされており(懸賞運用基準3)、総付の上限の側で考えます。受付の時刻の記録を保管し、同時刻の申込みをどう扱うかを規約に書いておくことで、後の説明がしやすくなります。
値引き・増量・割引クーポンとの区別:景品類に当たらない場面と、混ざる場面
総付の企画を考えるとき、同じ「お得」でも、景品類として制限を受けるものと、そうでないものが混在します。区別の考え方は、公表されている運用基準で、おおむね次のように整理されています。商品やサービスそのものの価格を下げる値引き、同じ商品を同じ条件でさらに多く提供する増量や、商品の使用に不可欠な付属品の提供などは、正常な商慣習に照らして取引の内容そのものと認められるときに、景品類として扱われない場面があります。反対に、購入した商品とは関連のない物品や、別の商品の割引券を付けるときは、景品類として扱われやすくなります。
ただし、境目は条文だけで決まるものではなく、運用基準の記載と企画の実態で決まります。したがって、次のような企画は、どちらの整理になるかを個別に確認する必要があります。
- 購入した商品と同じ商品の増量(たとえば容量を増やす):商品そのものの内容と見られる場合が多いが、名目を「プレゼント」と称した別商品の追加は、景品類として扱われる可能性がある。
- 次回に使える割引クーポンの付与:自社の同じ商品を値引きする性質なら、値引きと扱われる整理が示されている一方、別の商品やサービスに使えるクーポンは、景品類に当たりうる。
- 商品に付属して初めて使える部品や付属品:商品の使用に必要なものか、単なる付加価値かで分かれる。
- 購入者に提供する送料無料や配送の優遇:役務の取引条件か、景品類かが、サービスの内容により分かれる。
- ポイントの付与:自社の同一の商品に使えるポイントが値引きと整理されるか、景品類とされるかは、使い道と付与の条件による。ポイントの規約と法の線引きは、ポイント還元・クーポンの規約のページで詳しく扱っている。
区別のコツは、「その利益を受け取った人が、買った商品に関して経済的に得をしたのか、それとも別のものを受け取ったのか」という素朴な問いに戻ることです。同じ商品が安くなる、同じ商品が増えるという形なら、取引の内容に近づきます。別のものを受け取るなら、景品類の定義に近づきます。名目(「割引」「サービス」「プレゼント」)ではなく、中身で見るのが原則で、告知の文言を変えても、実態が変わらなければ結論は変わりません。
もう一つ、総付の上限の対象から除かれる提供があります。自己の供給する商品・役務の取引で使う割引券その他の割引を約する証票、見本その他の宣伝用の物品やサービス、開店披露などの行事に際して提供する物品やサービスは、正常な商慣習に照らして適当と認められる範囲であれば、総付の上限の枠で制限されません(総付告示2項)。運用基準は、割引券などの証票について、提供の方法、割引の程度や方法、業種ごとの実態を踏まえて判断するとし(総付運用基準4)、見本等については、内容や特徴を知らせて購買を促す小型の見本・試供品、試食、事業者名入りのカレンダーなどで適当な限度のものを挙げています(同3)。「適当な限度」を超えれば、この扱いは受けられません。
告知と規約への書き方:企画の中身を同じ言葉で揃える
総付景品の企画は、応募して当選を待つ懸賞とは違い、条件を満たせばその場で受け取れる点が特徴です。そのため、規約というより、店頭やWebページの告知文が実質的な条件の説明になることが多く、告知の文言と規約が食い違うと、受け取れる・受け取れないの行き違いが起きます。特に次の五点は、告知と規約の双方に同じ内容で書いておきます。
規約の例総付景品の企画で定めておく項目(規約・告知の例)
- 対象者:本企画は、期間中に対象商品を一度に○円(税込)以上ご購入のお客様全員を対象とします。ご購入は、当店または当サイトでの直接のご購入に限ります。
- 提供内容:対象のお客様には、プレゼント品(以下「特典」といいます。)を1回のご購入につき1点お渡しします。特典は、色柄を選ぶことができません。
- 期間と数量:本企画の期間は○月○日から○月○日までです。特典の数量には限りがあり、なくなり次第、期間内であっても終了します。終了した場合は、当サイトに掲載します。
- 対象外:返品・交換・キャンセルをされた場合は、特典をお返しいただきます。転売を目的としたご購入は、対象外とします。
- 変更・中止:やむを得ない事情があるときは、本企画の内容を変更し、または中止することがあります。変更・中止の場合は、当サイトで事前にお知らせします。
数字や日付は伏せた書き方の例です。実際には、景品表示法の告示で定める上限の範囲内であることを、企画の記録で確認してから、数字を入れてください。
上の例の「返品・交換・キャンセルをされた場合は、特典をお返しいただく」という定めは、実際に起こりやすい論点です。購入を条件に特典を渡した場合、購入が取り消されたのに特典だけが残ると、事業者の損失になる一方、返還を求める運用が現場で徹底されていないと、規約が形だけの定めになります。返還を求めるなら、返還の方法(郵送の費用の負担、返送の期限)と、返還できない場合の扱い(特典相当額の控除など)まで決めておきます。控除をするなら、控除の額が景品の市価を超えないようにし、その根拠を記録しておくと、争いが生じたときに説明がつきます。
書き方の例(一般的な例) 総付景品の告知文
対象と条件
理由「ご購入のお客様」だけでは、最低購入額、対象商品、1回の購入の範囲が分からない。最低購入額は、取引価額の基準にもなる。
数量の限り
理由終了後も告知が残ると、受け取れると期待した人との行き違いになる。終了の知らせの出し方まで決める。
返品時
理由「場合があります」では運用が揃わない。返す物、返す方法、返せないときの処理を決めておく。
確認の問い:企画書に残しておくと後で説明できる事項
総付景品の企画では、事前の確認事項を企画書に残しておくことが、景品表示法22条の管理上の措置にもつながります。同条は、事業者は、景品類の価額の最高額、総額その他の景品類の提供に関する事項を適正に管理するために必要な体制の整備その他の必要な措置を講じなければならないと定め、措置の指針を内閣総理大臣が定めて公表することも規定しています。次の問いは、企画を決める段階で確認し、記録として残すとよい項目です。
確認の問いと理由総付景品の企画を決める前に確認する問いと、その理由
取引価額を何円と置くか。
上限は取引価額を基準に決まるため、数字の置き方が結論を左右する。置いた根拠を一貫させて記録する。
景品の価額をどの資料で算出したか。
市価の根拠が説明できないと、上限の範囲内であることを示せない。仕入れ価格だけでなく、市価の資料を残す。
最低購入額はあるか。ある場合、その額で上限を計算したか。
最低購入額が決まっていれば、その額が取引価額の基準になる考え方がある。購入額が大きい人を基準にしない。
同じ人が何回も受け取れるか。その場合の取引価額は1回ごとか。
複数回の受取りで合計額が膨らむと、実質的な提供額が上限に近づく。回数や合算の扱いを決める。
他の企画(ポイント、割引、抽選企画)と併用できるか。
併用すると、一つの取引に複数の利益が重なる。併用の可否を告知に書き、全体の額を見る。
受取りの条件を満たしたことを、どう確認し、どう記録するか。
先着順や来店特典では、確認の方法が不正と争いの防止になる。記録は、終了後の説明にも使う。
問いに対する答えを企画書に書いておくこと自体が、管理上の措置の一部になります。担当者が変わっても、同じ根拠で運用できます。
起きがちなこと:総付の企画で行き違いが生じる場面
総付景品は、仕組みが単純なだけに、事前の検討が薄くなりやすい企画です。次の場面は、実務でよく見られる傾向として挙げられます。
総付景品で起きがちなこと
- 「全員にあげるのだから抽選ではない」と考えて、上限の確認をしないまま、取引価額に比べて大きな景品を付けてしまう。
- 最低購入額を設定しているのに、実際の購入額を基準に計算してしまい、基準となる最低額に対して景品が大きすぎる設計になる。
- 景品の価額を仕入れ値で見積もり、市価で見ると上限を超えていることに、企画の終了後に気づく。
- 先着の企画で、受付の順番の記録が残らず、「先に申し込んだのに受け取れなかった」という苦情に説明できない。
- 終了した企画の告知が店頭やサイトに残り、「まだ受け取れると思って来店した」という行き違いが起きる。
- 返品・キャンセルがあったのに特典の返還を求める運用がなく、特典だけが渡ったままになる。
- 割引クーポンやポイントを併用でき、一つの取引に複数の利益が重なって、全体として大きな提供になっている。
これらの多くは、法律の難しい解釈の問題というより、企画の数字と記録の管理の問題です。上限を確認し、取引価額の置き方を決め、告知と規約を揃え、受取りの記録を残す。この基本が整っていれば、景品表示法の管理上の措置という観点からも、説明のつく企画になります。指摘を受けたり、トラブルになったりした場合の流れは、トラブルになったとき・よくある質問のページで整理しています。応募を伴う企画の規約の書き方は、キャンペーン応募規約の書き方のページを参照してください。
よくあるご質問
総付景品の上限は、いくらまでですか。
景品表示法4条に基づく告示で、取引価額が1,000円未満のときは200円、1,000円以上のときは取引価額の10分の2が上限とされています(正常な商慣習に照らして適当と認められる限度内)。条文自体には金額が書かれておらず、数値は告示の改正で変わることもあるため、企画の前に、消費者庁が公表している告示と運用基準の原文で、最新の上限と適用除外を確認してください。企画書には、取引価額の置き方、景品の市価、上限の計算を残しておくと、後で説明できます。
「購入者全員に」ではなく「先着100名に」と限定すれば、上限の規制は受けませんか。
受けないとは言えません。数量を限定しても、景品類に当たる提供であることは変わりません。先着順は、偶然や優劣で決まらないため総付として整理される考え方が示されており、その場合は総付の上限を確認することになります。数量を限定することは、景品類の規制を外す方法ではなく、事業者の負担や在庫を管理する手段にすぎません。
最低購入額を決めると、取引価額はどう見ますか。
一定額以上の購入を条件とする企画では、その最低購入額を取引価額と見る考え方が示されています。実際に高い買い物をした人がいても、基準は最低額のままです。そのため、景品の価額を最低額に対する上限に収めるのが基本になります。細かい扱いは、運用基準の原文で確認してください。
割引クーポンを配るのも、総付景品として規制されますか。
クーポンの性質によります。自社の同じ商品の価格を下げる値引きと整理されるものは、景品類として扱われない場面があります。他の商品やサービスに使えるクーポンや、購入した商品と関係のない利益は、景品類に当たりうるため、運用基準に沿って確認が必要です。名目ではなく、受け取る人にとっての経済的な意味で判断します。
特典を受け取った人が返品した場合、特典も返してもらえますか。
返してもらうには、規約や告知に、返品の場合は特典を返還すること、返送の方法と費用、返還できないときの扱いを書いておく必要があります。定めがなければ、特典を返してもらうことは難しくなります。返還の運用が現場で行えるかも含めて、企画の時点で決めておきます。
あわせて読みたいページ
本ページは一般的な情報提供です。個別の企画への当てはめは、景品類の提供の仕組みや表示の内容によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や企画を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索で確認できます。景品規制の告示や運用基準の数値は、消費者庁の公表資料の原文で確認してください。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 / 個人情報保護委員会